「ゼータ関数の非自明なゼロ点はすべて一直線上にあるはずだ」
先月のNHK BSプレミアムアーカイブ 「素数の魔力に囚われた人々」「リーマン予想・天才たちの150年の闘い」 の中でゼータ関数を3次元の立体グラフに表示してリーマン予想の説明がありましたが、ゼータ関数の3次元の立体グラフの高さがゼロの点を結ぶとすべて一直線上にあるという有名なリーマン予想のグラフの描き方が分かりません。
1.ゼータ関数
pは素数(1と自分自身で割り切れる整数)上記1のゼータ関数の変数はsとゼータ関数の値の2つだけです。3次元の立体グラフを描くには、横軸・縦軸・高さの3つの変数が必要なはずです。この番組は2009年12月の放送なのでインターネット検索のgoogle先生にたずねればすぐ答が帰ってくると思いましたが良い答がなかなか見つかりません。
1)ゼータ関数の3次元の立体グラフの横軸・縦軸・高さの3つの変数は何か?
2)非自明とは具体的に何を意味するのか?
番組では説明がなかったこの2つの疑問を数学の書籍で調べてみました。
2.オイラーの等式
nは自然数(正の整数)上記2のオイラーの等式でゼータ関数は自然数nのs乗分の1の和になります(分かりにくい素数を意識しなくてもゼータ関数が計算できることになります)。
3.非自明なゼロ点とは上記3で非自明とはゼータ関数のsが-1の平方根を含む虚数であるということを説明しています(番組の説明のようにsは実数ではありません)。虚数とは紀元前のエジプト人がピラミッドの角錐台の体積を求めたとき方程式から負の数の平方根が発生していました。虚数を合理的かつ数学的に捉えたのが複素数(x + yi)という数字です。
4.ゼータ関数の3次元グラフの変数
x=横軸 y=縦軸 z=高さ上記4でゼータ関数は複素関数論によってu + vi という複素数がえられる。よって絶対値zがえられて3次元グラフが描けることになる。
3次元の立体グラフを描くには、オイラーの等式や複素数が必要なんですね。NHKもここまで詳しく説明してくれませんでした。
イギリスのジヤーナリストKarl Sabbagh(カール・サバー)の書いたThe Riemann Hypothesis(リーマン予想)はすばらしい本でした。
リーマン予想を研究している世界の数学者(番組の中で登場したルイ・ド・ブランジュ博士やアラン・コンヌ博士も登場します)へのインタビュー形式でまとめられた非常におもしろい本ですが、インタビューされた数学者の中に日本人としては唯一私の母校の数学科の本橋洋一先生が登場しています。
先生が黒板にかかれる数式や理論は非常に美しいもので、数学が美術的要素をふくんでいることを再認識させられるすばらしい講義でした。
物理と数学のかきしっぽ
にて
リーマン予想の証明に成功