新国立競技場 デザイン

17日の産経ニュースでは、
「2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の総工費が2520億円に膨らんだ問題で、政府内で「キールアーチ」と呼ばれる2本の巨大な鋼鉄製アーチの建設をやめ、建設計画を縮小する案が浮上していることが15日、分かった。最大観客数も現行計画の8万人から6万人程度にすることも検討する。政府関係者が明らかにした。与党内からも総工費を抑えるため計画の見直しを求める声が噴出している。

 競技場のシンボルとなるキールアーチは長さ400メートルの巨大な構造で、会場付近の仮設工場での接合が必要など工法も特殊だ。このためアーチを含む屋根部分の工費は950億円にのぼり、総工費を押し上げた。

 ただ、現時点でデザインを変更すれば、五輪や2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会に完成が間に合わなくなる可能性がある。政府内では建設計画をゼロから見直し、平成24年に行った国際デザインコンクールで最終選考に残った案から採用することなども検討されている。」

など、工事費のことだけが問題になっていますが、デザインに関してはあまり議論されていないように感じられます。

msnニュース(毎日新聞)では、
「2012年11月7日のJSCが基本構想のデザインを募った国際コンクールの審査委員会で委員長の安藤忠雄氏が発言した「日本の技術力のチャレンジという精神から、ザハ・ハディド氏のデザインがいいと思います」で、イラク出身で英国在住の建築家、ザハ・ハディド氏のデザインに決定したそうです(情報公開請求で開示された議事録によると、2次審査に残った11点のうち、委員長を含む委員10人による投票では、ハディド氏の作品を含む3点が同点。だが、他の委員から「委員長の1票は2票か3票の重みがあると判断すべきかと思う」などと促され、安藤忠雄氏がハディド氏の作品を選んだ。)。
安藤忠雄氏はハディド氏のデザインを「宇宙から舞い降りたような斬新な案に心を動かされた」と講評していた。」

地震大国日本の国立競技場の設計を国際コンクールで選んだことは問題だと思います(2012年11月7日は民主党政権であり、自民党政権ならば日本の国立競技場の設計を国際コンクールで選ぶことはありえないかもしれない)。
安藤忠雄氏が言われるような宇宙から舞い降りたようなイメージにするための「2本のアーチ」など地震が少ない国の出身者が設計したデザインで、耐震性の強化に相当な費用がかかることが素人の私でもわかりますね!
でも世界遺産として残るような、斬新で歴史的な建築が世界に先駆けて日本の技術力で完成できれば、総工費が3000億円かかろうが、五輪や2019年のラグビー・ワールドカップ日本大会に完成が間に合わなくても、価値ある事業と思えますが!ザハ・ハディド氏のデザインが世界遺産として残るような普遍的価値があるでしょうか?

丹下健三はミケランジェロの彫刻を見るといつも涙がこぼれるのだと言っていました。同じような感動が建築にも必要だと考えていました。建築で人の心を揺り動かしたいと。
丹下健三「東京カテドラル聖マリア大聖堂」はヨーロッパの教会に習ってステンドグラスと十字架と単調になり易い聖堂を神と対話する場所としてミケランジェロの彫刻に勝るとも劣らない人の心を揺り動かす感動の空間に変えています。

しかし残念ながら新国立競技場のデザインに熱い感動を覚えません。新国立競技場のデザインを何度見直しても、まるで自転車のヘルメットのようで軽く、日本の象徴である国立の競技場としての権威が全く感じられません。
私は、丹下健三が指摘するように、建築には人の心を揺り動かす感動が必要だと思います。

[2015/7/18 追記]
総工費「2520億円」に批判が集まり、安倍首相は新国立競技場の建設を白紙撤回した。
デザイン審査で審査員が、工事費(デザイン審査でも審査員がおおよその工事費を概算する能力は必要で予算の倍以上に膨らんだことは問題です)を把握する能力に欠けていたのが最大の原因と思われます。
予算1300億円の工事費で完成できるようなデザインではなかったものを、デザイン審査の段階では審査員が、把握できなかったようですね!
ハディド氏のデザインでは競技場を取り囲むように通路(道路)があり、3階には、集会所(展望所)のようなものがありますが、それらの通路を支える柱がありません。通路が宙に浮いています。さらにキールアーチの形状に高い強度は感じません。
2012年11月にデザイン審査の結果を、テレビのニュースで見ましたが、「こんなものが本当に造れるのか?」とう疑問を持ちました(私はデザインの良し悪しよりも建築の不安定さに不安が広がった)。
専門家でもない私でもこの程度のことは分かり、日大理工にはもっと優秀な人材は沢山いそうですが?
新国立競技場は、現在のデザインでは造れないのではないでしょうか?

[2015/7/21 追記]
youtube 「クローズアップ現代 ”迷走”新国立競技場」の感想です。
2012/11のデザイン審査で、ハディド氏のデザインに異論が出たそうです。
岸井隆幸(日本大学教授)「本当にこのとおり軽やかに建設できるか危惧を持っている」内藤廣(東京大学名誉教授)「相当たいへんで不可能に近い かなりのコストがかかるという懸念がある」と言って反対されていますが、最終的に「デザインのインパクトが招致への後押しになる」として全会一致でハディド氏のデザインを選んだそうです。
この2012/11のデザイン審査で1300億円の予算で造れるデザインを選択すれば、何の問題もなかったはずです。
ですから安部首相や森元首相や下村大臣に、私は基本的な責任はないと思います(予算1300億円や設計を国際コンクールで選ぶことを決めたのは民主党政権時代のことですから)。
しかし予算1300億円は北京500億円やロンドン530億円に比べてはるかに工事費が高すぎます。ここがこの問題の失敗の本質かもしれませんね!

About 管理者

昭和49年日本大学理工学部数学科卒業。さすらいのSEである。卒業ゼミで数学科宇野教授から君は頭はいいが世間知らずだと言われる。「大きいところで尻尾になるより、たとえどんなに小さいところでも頭になれ」と教えられるが、真の意味がわからず日大理工卒業後さすらいの旅に出る。あれからもう40年、最近やっと安住の場所を発見する。
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